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2014.05.25

片山被告の嘘

PC遠隔操作事件で被告人の片山氏が犯人であることを自白しました。

それまで弁護人を務めてきた佐藤弁護士は、片山氏は無実であると信じてきたでしょうから、そのショックは大変なものだったと思います。

弁護人が被告人と話をする際、嘘をつかれていることはよくあります。
ただ、多くの場合、嘘をついていることは何となく分かります。
話の全体の中である部分だけ抽象的だったり、微妙に話が矛盾したり、変遷したりしているからです。

それでも、弁護人には被告人を守る役割がありますので、被告人に対して、いきなり「それは嘘だろう」とか「あなたがやってますね」というような言い方はしません。
被告人は、警察、検察から「お前がやっただろう」という論調で取り調べをされています。そんな中、「やっていない」と言い続けている被告人に対し、弁護人までもが「あなたやってますよね」という姿勢で臨むと、誰も被告人の言うことに真摯に耳を傾けないことになり、冤罪が発生する可能性が高くなってしまいます。

では、何となく「この話、嘘っぽいな」と思ったらどうするか。
抽象的な話に対しては、具体的な状況を聞くために突っ込みを入れていきますし、矛盾している点については、その点を指摘していきます。
要は、検察官の取り調べと同じような質問をしていくわけです。
そのため、時折、検察官と同じことを聞く弁護人に対して怒り出す被告人もいます。

ただ、捜査機関である検察官が「犯人であれば有罪にしなければいけない」というスタンスで話を聞くのと、弁護人が「犯人でなければ無罪にしなければいけない。その弁護活動のためには全ての事情を知っておく必要がある」というスタンスで話を聞くのでは、被告人の態度も異なってくるのは当然です。

そうやって話を聞いていくうちに「実はやりました」と言って嘘が発覚する場合があります。
この場合は、まず被告人を説得します。
嘘をついたまま公判に出ても、嘘が発覚することが多いですので、そうすると、結局、「反省していない」と見られ、量刑に悪影響を及ぼすからです。

一方、嘘をつくのが上手な被告人は、一連の話の中の重要な部分が矛盾していないし、話のあらすじが一貫していて、供述内容が他の証拠とも一致しているので、簡単に嘘は見破れません。
しかし、被告人も人間です。嘘に嘘を重ねていくと多数の質問に答えていくなかで、「どう答えるのが他の話と矛盾しないか」とか「本当に無実の罪で捕まっている人であれば、この質問に対してどういう回答をして、どういう表情をするだろうか」と迷う部分があるはずです。

そのような場合、どうしても気持ちの迷いが表情に出るはずですので、弁護人は話をしながら被告人の表情の変化も見逃さないようにします。
もしも弁護人に話していない事情があり、それが後に出てくれば、被告人を守ることができませんし、量刑にも影響してくるため、何か隠れている事実があるのであれば、早期に把握しておく必要があります。
また、その被告人が「犯人かもしれない」という疑念を抱きながら、無罪の主張をしていくことには強い抵抗があるのが普通です。

冒頭のPC遠隔操作事件の話に戻します。
片山被告の弁護人はテレビ番組で片山被告の嘘が嘘と分からなかった理由について以下のような趣旨のことを発言されていました。
「片山被告は、無実の人の心境になりきれる(仮面をかぶれる)ため、質問に対して無実の人であればどういう風に感じるかを一瞬で判断できる。それが表情に出るから嘘と分からなかった。」

確かに、話自体に矛盾や変遷がないうえ、表情にすら迷いが出なければ嘘を見抜くのは非常に難しいと思います。
佐藤弁護士は相当長時間の面会を経て、片山被告と話をしてきているはずですので、ここに書いたようなことを繰り返し検証し、片山被告を無実と信じたのだと思います。
それを騙しきってきたというのは相当なものです。

片山被告の精神構造は一般の人とは異なるようですが、今後、どのような心理で公判に臨んでいくのかについて注視していきたいと思います。

TEL:03-6280-8302
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